himatom

明治時代からの相撲が好きです。

栃木山死去

白鵬が全勝優勝→引退と異例の展開となったがその先例がいた。大正14年栃木山。その栃木山が62年前の10月3日67歳で死去した。大正14年春に10勝1分で優勝後、翌場所直前に引退。花のあるうちに引退、ハゲを気にしてともいわれるが、本人もその話題を後年にわたっても避けた為真意は測りかねる。一説には大正12年頃に稽古中に息の乱れから衰えを感じ引退を申し出たが慰留されていたとも。今回の白鵬名古屋場所中、秋場所前にも引退の意向を伝えたが「全勝してるのに~」「出場して決すべき」と許されなかったらしく事例が似る。

栃木山は引退後1年程欧米巡遊に出向き、昭和6年には大日本相撲選士権で現役の玉錦以下を蹴散らし難なく優勝、語り草となる。昭和7年より昭和34年の死去まで27年間相撲協会取締として最高幹部の座にあり、晩年は横綱栃錦の師匠としても重鎮で相撲ぶりと異なり穏やかな性格で多く慕われた。定年制により36年に退職が決定の中、昭和34年も秋場所初日には優勝掲額、賜杯返還式にも立ち合ったが、場所中に入院し程なく脳血栓で亡くなる。停年目前による心労もあったか。常ノ花の出羽海も同様に停年1年前の35年64歳で急死している。一説にはフグ中毒というが。ともかく進退の潔さ、完成された型は語られるべきだろう。